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10月のイベント以来、5ヶ月ぶりに荒浜に行く。

またも日帰りで、運転9時間、現地滞在3時間、魚の配達2時間て感じだった。

荒浜小学校の体育館とプールが取り壊される事が決定し、そのお別れ会が2月17日に行われ,25日からは取り壊し工事が始まるのだという。取り壊される前に一度行っておきたかったし、何よりも昨年10月の仙台でのイベント以来行けてないのだからなんとしても行かなくてはならなかった。3月が来ればあれからもう2年になる。集落の入り口のコスモ石油ももう取り壊されたし、津波の痕跡を残している大きな建物がもう無くなってゆく。雪に覆われた荒浜も観たかったんだけど、車ではちょっと危険だったかな。そういえば、セブンイレブンが2月21日に再びオープンしたらしい。建物を建ててはいけない地域だからプレハブだが。表面上はいろいろなことが進んでいるようにも見える。表面上は。

現在の荒浜は無人の状態はほぼ無く、工事関係者、パトロール、ボランティア、そして当然住人の方が何かしら作業を行っている。

海水浴場の入り口だった辺りに慰霊碑がある。現在その右後ろに慰霊碑と観音像を製作中。いまの慰霊碑は仮なんだそう。まだ土台しか出来てなかったけど、随分立派な造り。こんな立派な物造る金があるんだったら他に使い途があるんじゃ?そう言ってた人がいたし、それはそうだろうとも思う。なにひとつ進んでないとさえ思えてしまうことが多いのだから。ただこの観音像は地元の石材店の方が寄贈したものなんだそうだ。

天気は曇り。というかほんの少し雨が降っていた。予報をみればこの天候は予想出来たけど、寒い。当然、色が無い。でも色が無いなら無いその色を撮ればいいんだけど。それが写真の最も難しいところであることには違いない。

そもそもこの企画は2011年の暮れに會田から話をもらった。で2012年の3月から1年間かけて荒浜に通い撮影したものを発表しようと言うものだった。つまり、今回がその1年間の最後の撮影ということになる。

2011年の暮れから2012年の2月ぐらいまではロクなことがなかった。仕事でも個人的にも。それはまあ自分に責任がある訳だけども。で3月から荒浜に行き始めたわけだけど、荒浜に行って、断片的だった思考AとBが繋がったり、はっきりしなかったものがはっきりしたものになったり、

ふつう人間の価値観とか人間性とか世界観とかって言うのは中学生ぐらいでほぼおおまかな部分は完成されるものだろうと思うけど、この1年間はその多感なティーンの時期に匹敵するぐらいのいろいろな思考の変化とか新しい価値観の形成とか認識とかがあった。悪い事があっても良い事もある、そういう事を口では言えるけど、それをまさに実感できた1年間だった。それは砂浜を歩いていたり、吉男さんの小屋をじっと見ていたり、赤貝漁に同行させてもらったりした中でいろいろ感じた。

また今回も優子さんに魚を大量に頂いた。なんでいつもあんなに大量の魚をくれるんだろう?どう考えても食べきれない量なのに。

今回、平床君や會田に分けて初めてわかった。そもそもこれはもらった人がひとりで食べきるべきものではなく、分けるものなんだと。あのひとたちは今までずっとそうやってきて、それをオレらにも同様に行っているだけのことなんだろうと感じた。おすそわけの精神ってこういうことかと思った。オレらがもらったんじゃなく、それをいろんな人にまた分ける、そうするべきものなんだと。
しかもそれらはハンパじゃなく美味い。今回自分の分をキープしなかったことを本当に後悔した。

また、今回は初めて波男さんの小屋に行った。波男さんは不在だったけど。あのケヤキの記念樹の佐藤春男さんの御宅の、近く、さらに奥の方だった。吉男さんが東区の一番端っこ。波男さんは西区の一番端っこ。あっちまでは行ったことなかったなあ。