0609

彼女はオレよりいくつも年下で、美しくしかも明るかった。あの頃の飲み会にいっつもいた。

いつだったかいきなり電話がかかってきて、そのまま何人かで厚木の奥の方の温泉に行ったことがあった。猪鍋って言うのは殆どはイノブタなんですよ〜って女将に言われた。

たまたま恵比寿か中目黒かどっかでバッタリ会って、その時彼女が住んでいた野沢の部屋まで一緒に歩いたこともあった。

その後結婚、出産して調布の方に引っ越したとかで、恵比寿らへんにはもうあんまり顔出さなくなっていた。そりゃそうだよね。

3年前のライブで久しぶりに会った。子供を連れていた。

そして、地震の1ヶ月後に旅行先で倒れて亡くなった。

死っていうのは逃げられないもの、絶対にやって来るものだけど、ある程度近いうちにそれが予想される人に訪れるものだと思っていた。順番みたいなものがあると思ってた。若くて美しくてハッピーな女性にはいきなりはやって来ないものだと思っていた。でもそうじゃなかった。

彼女は、子供達の成長を見守りたかったはずだ。でもそれは途中で叶わなくなってしまった。

この世の中は生きている人たちが良くしていかなくちゃならない。だけど、時々生きていることが恥ずかしくなるっていうか。死にたいとは思ったことはないけど、別に生かされてるとは思わない。自分にそれだけの価値があるとは思わない。じゃあなぜ生きてる?その意味を探すことが辛い時もある。

この世の中が食い物にされていると思う。まさにバビロンというか。ずっとそうだけど、今まさにそう思う。特にこの数年そう思う。